日々のテレワーク業務で見えてきた、今必要なコミュニケーションスキルとは?

日々のテレワーク業務で見えてきた、今必要なコミュニケーションスキルとは?

新型コロナウイルスの感染拡大からテレワークが推奨されていますが、緊急事態宣言解除後も「新しい生活様式」の提言にともない、その要請はさらに継続しそうです。

“今後のWeb業界で求められるスキルとは何か?”を、ビジネス・アーキテクツは考えてきました。今回は、テレワークが急速に普及し、顔が見えない関係の中で鈍化すると言われているコミュニケーションについて、メンバーがどんな意識で業務に取り組んでいるか、さらにはそこで必要とされるスキルをご紹介したいと思います。

なお、このコラムは全三回に渡って展開しています。第一回目ではテレワーク時代に必要なスキルの全般論について、第三回目ではテレワークに向けて準備したい作業環境について紹介しますので、こちらもご参考になれば幸いです。

※このインタビューは4月下旬に実施しました。掲載情報等が現在と異なる場合があります。

「スキルで言えば、マーケティングやプランニングの領域」デザイナー・Aさんの場合

――Aさんは主に証券会社のWebサイトを手掛けています。クライアントとのコミュニケーションは、テレワーク以前と変わりましたか?

「クライアントのオフィスには、弊社のスタッフがチームで常駐しているため、これまでは重要な会議のときだけ呼ばれていました。Web会議では移動の手間が省け、数クリックで次の会議を始められることから、クライアントの方々は会議の機会が増えているようです。私たちも細かい会議にも呼んでいただけるようになり、以前よりコミュニケーションの機会は増えています」(Aさん)

――会議の回数が増えたことで、クライアントとの関係に変化はありましたか?

「クライアントが我々に重要な決定事項を話す前に、どのような部署に、どのようなフローで調整していたのか。さらには、会議に参加している方々の立ち位置まで、クライアントの一歩踏み込んだ内情を知ることができました。出向しているメンバーが、どのような環境の中で仕事をしているのかを知り、それを見越した動きができるようにもなりましたね」(Aさん)

――対面での会議とは違い、Web会議では相手のバストショットしか表示されず、全員の表情を見渡すことも困難です。回数が増えた一方で、見逃している情報もあるのではないでしょうか?

「あると思います。メラビアンの法則によると、人は視覚から最も多くの情報を得ているそうです。相手がちゃんと聞いているか、どういう反応をしているか、話し方や身振りが見えるかどうかは、意思の疎通に影響していますね。最近ではより一層相手の様子を伺うように、日ごろから気を付けています」(Aさん)

――今後テレワークが進む中で、デザイナーに求められるコミュニケーションスキルとは何でしょうか?

「テレワークによってクライアント側の人間関係が変化し、それが事業に影響を及ぼすことが考えられます。例えば、Webサイトのどこに力を入れようと考えているのか? そうしたクライアントのニーズを理解する必要があるでしょう。なので、スキルで言えば、マーケティングやプランニングの領域になると思います。これは、Web会議における情報収集だけではなく、対面の会議に参加する場合にも重要です。テレワークでコミュニケーションの機会は増えているので、その中で新しい関係を積極的に構築して、今後の業務に活かしていきたいですね」(Aさん)

「Web会議とチャットには、まだまだ落とし穴が多い」エンジニア・Yさんの場合

――Yさんは常時いくつかの案件について責任者として関わっています。クライアントとのコミュニケーションは、テレワーク以前と変わりましたか?

「私が担当している案件では、クライアントの方々のITスキルが高いので、テレワークでのWeb会議など、スムーズに環境を移行することができました。今のところ、特に不便さは感じていません」(Yさん)

――社内のメンバーとのコミュニケーションはどうですか?

「コミュニケーションの機会は以前よりも増えたと思います。Web業界の人間は言葉を交わすよりも、チャットなど文字で意思疎通するのが得意なことが多いですね。通話だとリアルタイムで対応する必要がありますが、チャットであれば少し置いておいて、ゆっくり考えてから対応できるのも魅力です」(Yさん)

――Yさんは若手のサポートをする機会が多いようですが、それも顔が見えなくても問題ないと。

「スケジュール管理などは良いのですが、顔色を見て危なそうだとか、遅くまで働きすぎではないかとか、そういう部分は見過ごしているかもしれません。なので、今は1日に1回は『〇〇、調子はどう?』というように、こちらから話しかけて様子を聞き出すようにしています。他にも、Web会議やチャットによるコミュニケーションには、まだまだ落とし穴が多いと思うんですよ」(Yさん)

――落とし穴ですか?

「相手の表情が見えない、言葉だけのやり取りでは、あいまいな表現で逃げられてしまうこともあります。例えば、きちんと役割分担したはずの案件でも、『これは誰がやるの?』ということが後から起きてしまいがちです。テレワークに必要なコミュニケーションスキルということでは、情報を整理して伝えたり、確認したりすることが重要ではないでしょうか」(Yさん)

「報告は声で聞くことが重要で、文字ではダメ」ディレクター・Kさんの場合

――Kさんは食品メーカー、証券会社、動画の制作会社など、さまざまな業種のクライアント案件を手掛けています。クライアントによって、テレワーク前後でコミュニケーションの変化はありましたか?

「例えば、レンタルスペースで仕事をしているので、Web会議をしようにも大きな声を出せないなど、クライアントによってテレワークの環境は異なります。ITの導入レベルもバラバラなので、Backlogというプロジェクト管理ツールでやり取りをする方もいれば、電話やメールを駆使してコミュニケーションを取る場合もあり、使い分けをしています」(Kさん)

――連絡経路が分散してしまうと、情報の取りこぼし、“言った・言わない”の問題などが怖いですね。

「まさにその通りで、顔を合わせて資料を見ながら説明すれば理解してくれても、普段は忙しさもあってメールはあまり見ないという方もいます。顔が見えないと相手の温度感も分からないので、一度メールでやり取りしただけで、完全な意思疎通を図るのは難しいです。必ず後から何らかのフォローをするべきですね」(Kさん)

――ディレクターという立場で社内のメンバーを統括する上で、テレワーク移行後に気を付けていることは?

「オフィスで仕事ができていた頃は、サブディレクターにクライアントとのコミュニケーションも、ある程度は任せていました。何か失敗があれば、顔を突き合わせながら問題を説明して、改善を図ることができたわけです。それが、チャットやWeb会議での説明に代わると、相手のレスポンスや理解に時間がかかるようになりました。急ぎの案件では間に合わないため、状況に応じて自分で解決するよう動くことなどを意識しています」(Kさん)

――デザイナーなどに仕事を依頼するときはどうでしょうか?

「コンペ用のデザインを提案するときなどは、毎日レビューを行っています。今進行しているデザインを画面上で共有。変更点やその意図などを、デザイナーに自らプレゼンしてもらうわけです。これは声に出してもらうことが重要で、文字や資料だけではダメですね。意図と書いていることがズレたり、資料の作成に時間がかかりすぎることがあるので」(Kさん)

――ディレクターとしてのコミュニケーションスキルの中で、特にテレワーク時代に必要とされるものは何でしょうか?

「速さと丁寧さを兼ね備えた対応能力ですかね。速さがなければ、不安に思ったクライアントへの対応などに、さらなるマンパワーが必要になります。一方で、文章でのコミュニケーションは丁寧さがないと、相手との関係がすぐにギクシャクしてしまいます。例えば、何か理不尽なことがあれば、それをきちんと認めて、相手に理解を求める。何かの情報を伝えるにも、10を言って取りこぼしなく把握してくれる人と、3ぐらいに小分けして伝えた方が理解してくれる人がいます。定型文でのやり取りを多用せずに、人と状況に合わせたコミュニケーションを、さらに意識しなければいけません」(Kさん)

――社内のメンバーとのチームワークについてはどうでしょうか?

「1人1人に目を向けて、話しかけることですかね。ネット越しのコミュニケーションでは、『何かない?』と全員にふわっと聞いても、返事がないことが多い気がします。Web会議では一人一人の名前を呼んで、具体的な答えを引き出すような質問をすることが大切です」(Kさん)

「ディレクターにとって重要なのはインプット」ディレクター・Mさんの場合

――Mさんはクライアントのオフィスに常駐して7年になりますが、これまでオフィスで行っていた会議などは、すべてWeb会議に移行できたのでしょうか?

「クライアント側には、イベント運営、コンタクトセンター、オウンドメディアなど、複数のチームがあるのですが、ほぼすべてのチームとの連絡をWeb会議に移行できました。ただ、クライアントの方々は、なかなか画面に顔を出していただけないんですよね。今までは顔色をうかがったり、場の雰囲気で伝わるものもありましたので、そこが難しいと感じています」(Mさん)

――クライアントはWeb会議に積極的なのでしょうか?

「移動などがないため手軽に実施できるので、会議の回数自体は以前よりも増えています。我々のチームは先方に常駐しているということもあり、これまで自社で行っているSlackやBacklogといったツールでのコミュニケーションを、既にクライアントとも共有していました。このような環境があったからこそ、テレワークにおいてもタスクの見える化などができているのかなと思います」(Mさん)

――これからのテレワーク時代に、ディレクターに求められるコミュニケーションスキルとは何でしょうか?

「大前提としてディレクターにとって重要なのはインプットだと考えています。よく見て、聞いて、理解する。そのインプットが間違っていると、ディレクターとして正しい方向にプロジェクトを導けません。誰かに仕事を発注するにも、クライアントに納品するにも、ズレが生じてしまいます。そのために必要なのが、クライアントの課題を引き出し、具体的なニーズをすり合わせていくためのヒアリング能力です。テレワークだから場の空気が伝わらない、回線環境の問題から声が聴きづらいといった特有の問題もありますが、そこは絶対に曖昧にしてはいけない部分ですね」(Mさん)

まとめ

今後のテレワーク本格化時代において、クライアントやプロジェクトメンバーとのコミュニケーションの機会が増える一方で、そこで得られる情報量には限りがあることが見えてきました。正しいインプットを行うために、自身のコミュニケーションスキルを今一度見直しておく必要があるでしょう。

その他にも、テレワーク本格化時代に求められるスキルは多岐に渡ります。これについては、第一回目と第三回目のコラムでも紹介させていただきますので、ご参考になれば幸いです。

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